主に出産や育児を経た女性医師に対して、医師としてのキャリア、出産時の職場環境、出産後の勤務形態、仕事を続けていく上での困難、女子医学生へ伝えたいメッセージ、行政や医療機関に望むことなどについてインタビューを実施した。
作成した動画は女性医師VOICEとして本HPで公開中であるが、今後、学会・研究会などで公開予定である。さらに学生への教材としても利用できると考え、利用については検討中である。
主に出産や育児を経た女性医師に対して、医師としてのキャリア、出産時の職場環境、出産後の勤務形態、仕事を続けていく上での困難、女子医学生へ伝えたいメッセージ、行政や医療機関に望むことなどについてインタビューを実施した。
作成した動画は女性医師VOICEとして本HPで公開中であるが、今後、学会・研究会などで公開予定である。さらに学生への教材としても利用できると考え、利用については検討中である。
平成23年1月28日 京都大学医学部附属病院臨床第一講堂
京都大学大学院医学研究科長 湊 長博氏
京都大学大学院経済学研究科教授 久本憲夫氏
ワーク・ライフ・バランスのディスカッションをするに当たって、言葉の定義は重要である。一般的にワーク・ライフ・バランスというと、仕事と家庭・育児とのバランスのことを言うことが多いが、例えば女性医師が早めに仕事を終えて帰宅しても家で遊んでいるわけではなく、家事や育児という別の仕事=ワークをしていることになる。単にどんな仕事をどんな割合で配分するかという問題だからワーク・ワーク・バランスだということになる。理想論を言えばワーク・ライフ・バランスの「ライフ」は趣味やレジャーなど楽しみのための時間であるべきだという提案で締めくくられた。
京都府医師会勤務医部会幹事長で京都市立病院院長 内藤和世氏
明治時代は勤務医の待遇は今よりもはるかによく、戦後医師会が開業医の利益を代表するようになっていった結果、勤務医が蚊帳の外となり、労働環境が悪化していったという歴史を紹介された。また、現在の医療制度では医師数を充足させようとすると病院の経営は破綻してしまうという問題を指摘された。
京都大学医学部附属病院副看護部長 黒沼美恵子氏
看護師の離職については頭を悩まされているところであるということ、育児中の看護師はほとんどが外来勤務であり、育児部分休業を取得し9時16時勤務になっているという現状を紹介された。病棟業務につき夜勤をこなしている女性看護師はほとんどいない。また、離職については着任後数年以内がほとんどであり、理由としてもっとも多いものは「結婚」である。
離職の理由として結婚が一番多いという点についてどう思うかという質問に対し、黒沼副看護部長は 仕事に色々と不満があり、ほかにも理由があるかもしれないが表に出しやすい理由として結婚を挙げているのではないかと回答された。
京都府立医科大学男女共同参画推進センター副センター長・
京都府立医科大学大学院視覚機能再生外科学講師 外園千恵氏
府立医大に昨年誕生した男女共同参画推進センターの紹介をしていただいた。
病児保育を今年立ちあげ、いずれは地域に開放する予定であるという計画を紹介されたところ、京大の病児保育の責任者である足立壮一氏からキャパシティの問題などの指摘があった。
京都大学医学部附属病院長 中村孝志氏
30年前に医師の子どもは保育所で預かってもらえないという理不尽な目にあい、共同保育所を立ち上げ、場所がないので自宅の借家まで提供して二人のお子さんを育てながら夫婦ともに医師としてキャリアを継続してこられた経緯をお話いただいた。病院長の夫人は京都市立病 院麻酔科部長をされていて、お嬢さんは産婦人科医で子育てに奮闘中とのことである。
京大の病児保育室は、ほかの患者さんとあまり接触せずに(感染症を院内に持ち込まないよう極力動線を離して)すむように外来棟の5階、病院長室の隣にある。病院長は病児保育室に自分の孫の様子を見に行った際、病児保育室のスタッフに「おじいちゃんも京大の職員なんですか?」と聞かれたというお話をされたところ、フロアは笑いの渦となった。
京都大学医学部附属病院消化管外科医員 大越香江
2010年3月に実施した京大病院医師アンケートの結果と12月8日に実施したランチタイムカンファランス「女性医師のキャリアプランを考える」 の報告を行った。診療科や医療機関の壁を越えて女性医師の知恵や工夫を集積することにはとても意味があるのではないかと述べ、我々が考えている様々な女性医師にインタビューをして撮影し動画を集めて公開していくプロジェクトについて紹介した。
京都大学女性研究者支援センター女性研究者支援推進室長・
京都大学グローバルCOE「親密圏と公共圏の再編成をめざすアジア拠点」事務局長 伊藤公雄氏
平成22年11月20日 京都市左京区内の町家
医師5名、一般参加者12名の計17名
科学コミュニケーションとは科学に関して科学者と科学者でない人たち(一般的には市民と呼ぶ)が交流することである。市民にとっては普段触れることのない最先端の科学知識を得て科学リテラシーを高めることができ、科学者にとっては市民が科学についてどう考えているかを知ることができる。
(1)医師不足の話と勤務医の仕事、女性医師の増加についてのプレゼンテーション。
(2)フリーディスカッション。
医師の勤務はやっぱり大変そうだという意見や、 どんな仕事でも忙しくて特に最近は景気も悪いのでどんな業種でも長時間勤務は当たり前かもしれない、という医師側からの意見もあった。それでももう1時間か2時間早く家に帰って家族と過ごせる生活のほうが人間的ではないかという話になった。知り合いの医師が過労死をされたという身近な体験を語る参加者もいた。
主治医制とチーム制の話では、別に主治医が時間外に見に来てくれなくて当直医であっても、ちゃんと状況を把握し得ていてくれているのなら別に構わないという意見が多かった。主治医制にこだわるのは実は医師のほうかもしれないという感想を持った。システムとしてシフト制で診ていると宣言してしまえば意外と納得してもらえるかもしれない。
また、代替医療によって医師の負担を軽減できるのではないかという一般参加者からの意見が出たが、これに関しては医師側の意見もわかれた。すなわち、積極的に自分でも代替医療を試そうとしているという医師と、エビデンスのないものは一応科学者として否定せざるをえないという医師がいるということである。一般参加者の方の中には代替医療にかなり期待を持っている人もいて、それは医師の説明不足に対する不信感からきているような印象を受けた。また、医療を離れた(もと)患者の受け皿が今の日本では存在しないので、代替医療(医療、と言えないようなものも含まれているかもしれない)に求めてしまうのかもしれない。適切な受け皿を作ることで医師の負担を軽減しつつ、根拠のない代替医療を排除することができるのではないかという示唆を得た。
健康格差は世の中に歴然として存在する。経済や教育、情報へのアクセスなどによって健康に関する情報収集能力と健康になるための努力に差が出るのはやむを得ないのかもしれないが、この格差を埋める努力は必要であると思われる。
詳細なディスカッション内容はこちら を参照してください。
平成22年12月8日 京大病院研修センター研修室
京都大学の医学部生、大学院生、病院勤務の医員・助教など合計22名。
(1)改正男女雇用機会均等法や改正育児・介護休業法の紹介。
(2)京大病院で実施した2回のアンケート調査の報告。
(3)3つのグループに分かれてフリーディスカッション。
医学生や研修を始めたばかりの研修医にはまだキャリアパスのイメージがつかめないようであったが、先輩女性医師がどのようなところに悩んでいるか、ぶつかっている挫折や壁などについて雰囲気は理解できたようである。また、普段コミュニケーションの機会がない女性医師同士の交流もでき、育児と仕事の両立などについて意見交換を行った。
ほとんど全員が初対面であったにもかかわらず、ディスカッションはかなり盛り上がっており、このコミュニケーション能力の高さは臨床でも生かされるものと思われた。
ディスカッションの概要はこちらを参照してください。
2010年3月
京大病院で勤務する641名の医師(研修医、医員、助教、講師、准教授、教授など雇用関係のある医師のみ)
返信用封筒を同封した質問票を各診療科に配布し、学内便で回収した。
現在の状況(年齢、性別、診療科、役職、家族構成、収入など)、ワークライフバランス、仕事に対する満足度などついて質問した。
詳細はこちらを参照してください。
200 (31.2%)
2009年3月
京都大学医学部附属病院に勤務する女性医師132名
京都大学医学部附属病院各診療科に返信用封筒を同封した質問紙を人数分配布、個別に回答してもらい、学内便で回収した。
年齢、診療科、家族構成や育児など個人的な現状や女性医師支援に関してどう考えるかについて質問した。
詳細はこちらを参照してください。
39 (29.5%)