ランチタイムカンファランス「女性医師のキャリアプランを考える」

(1)情報収集の重要性

なるべく最短で専門医を取ることを考え、そのためにはどうすればよいか最初に情報収集する必要がある。そもそも育児をしながら専門医取得に必要な症例を集めたり、申請の準備をしたり、試験を受けに行ったりするのはたいへんであり、できれば最初に妊娠する前に専門医を取得しておくのが無難ではないか。

(2)妊娠と仕事

5年間は妊娠せず仕事に専念することを提案したが、診療科によっては事情が違うと異論もあった。外科系のドクターには賛成が多かったようである。

(3)当直と女性医師

育児中の女性医師が当直に入りにくいのは、朝から日勤帯の仕事をした後そのまま当直に入り、翌日も朝から夕方まで勤務するという長時間連続勤務のためではないか。夕方出勤して朝に帰宅できるならば当直勤務可能になる女性医師がいるかもしれない。

(4)カンファランスの時間帯

カンファレンス出席のために子どもを秘書さんにみてもらう、祖父母に頼るなどの方法で段取りをしなければならないので大変なので、カンファランスの時間帯を参加しやすい時間帯に変えてもらいたい。

(5)常勤とアルバイト

バイト外来ではフィードバックがない。 自分の診断や治療が正しかったか後から分からないので、臨床能力の維持がせいぜいで能力向上はできない。

(6)診療科の選択

女としての人生をとるかキャリアをとるかの二者択一のような決死の覚悟で診療科を選んだが、実際は二者択一ではなかった。診療科選択の時に先輩からの情報があればよかった。 また、「妥協せずに自分の好きな科を選ばないと、苦しくなったときに乗り越えられない」という意見については賛成多数であった。

(7)子どもが病気の時のリスクマネジメント

京都大学の病児保育室は働いている人の数の割に定員が少なすぎる。また、利用できるかどうかその日の朝にならないとわからないので、朝になってから利用できないとわかってから代診を頼むか、ベビーシッターを探す手配をすると仕事に間に合わなくて困る。

子どもが小さいと、急な病気の可能性を考えてなかなかバイトが入れられず、経済的に苦しい。

すなわち、保育などの育児支援、復職支援、短時間勤務などの支援制度は必要条件ではあるが十分条件ではない。 女性医師がさらに能力を発揮できる環境整備、教育、自己啓発のために、診療科横断的医療機関横断的に 多くの女性医師の経験、知恵を集約することは意義があるという示唆を得た。