2012.5.16 | 女性医師VOICEに新たなインタビュー動画を追加しました。 |
2012.4.2 | 女性医師VOICEに新たなインタビュー動画を追加しました。 |
2012.4.2 | シンポジウム「医療人のワーク・ライフ・バランスと病院のホスピタリティ」京大病院男女共同参画のあゆみの講演内容を公開しました。 |
2012.4.2 | メディカルカフェ@町家におけるディスカッション内容を公開しました。 |
2012.4.2 | ランチタイムカンファランス「女性医師のキャリアプランを考える」のまとめを公開しました。 |
2012.2.6 | 女性医師VOICEに新たなインタビュー動画を追加しました。 |
2011.1.28 | 女性医師VOICEに「典型的な一日」を追加しました。 |
2011.1.23 | 女性医師VOICEに新たなインタビュー動画を追加しました。 |
2011.11.16 | 京都大学医学部附属病院総合臨床教育・研修センターでランチタイムカンファランス「女性医師のキャリアプランを考える」を開催しました。概要はこちらです。 |
2011.11.14 | 女性医師VOICEに新たなインタビュー動画を追加しました。 |
2011.7.27 | 女性医師VOICEに新たなインタビュー動画を追加しました。 |
2011.7.20 | 女性医師VOICEに新たなインタビュー動画を追加しました。 |
2011.4.19 | 女性医師VOICE(女性医師インタビュー動画)、医療人シンポジウム(講演スライド・音声あり)を追加しました。 |
2011.3.4 | 島根大学医学部附属病院ワークライフバランス支援室主催の講演会で「勤務継続のための女性医師支援から戦略的女性医師支援へ」と題した講演を行いました。概要はこちらです。 |
2011.1.28 | 公開シンポジウム「医療人のワークライフバランスと病院のホスピタリティ~京大病院男女共同参画のあゆみ~」を京大病院臨床第1講堂で開催しました。概要はこちらです。 |
2011.1.24 | 京大病院医師アンケート調査結果を公開しました。 |
2011.1.7 | 京大病院女性医師アンケート調査結果を公開しました。 |
2010.12.8 | 京都大学医学部附属病院総合臨床教育・研修センターでランチタイムカンファランス「女性医師のキャリアプランを考える」を開催しました。概要はこちらです。 |
2010.12.3 | 日本学術会議 5A (1)(2)会議室で、公開シンポジウム「データからみたワーク・ライフ・バランス」が開催されました。 |
2010.11.20 | 小規模市民講座「メディカルカフェ」において、勤務医問題・女性医師問題についてディスカッションを行いました。 |
2010.11.15 | ホームページを公開しました。 |
京都大学医学部附属病院消化管外科 大越香江
本研究を通じて、長時間勤務を前提とした医師の勤務環境と進まない男女共同参画の現状が改めて浮き彫りになりました。女性医師にとって家事や育児の多くを負担しながら勤務を継続することは極めて困難ですが、女性医師が妊娠や出産を契機に仕事を辞めてしまうことは社会全体の損失であるととらえ、男女共同参画という社会全体が共有すべき価値観の実現に向けてあらゆる努力を継続しなければなりません。
女性医師個人の努力と、医師需要の逼迫という社会的ニーズから、女性医師が勤務を継続するための環境は整いつつあるように見えます。しかしながら、多くの女性医師は少数派で孤軍奮闘の状況に置かれており、彼女たちがさらなる向上を続けるためには社会的なサポートが必要であるといわざるを得ません。また、少子化が進行する日本においては、妊娠や出産が個人的なイベントであると同時に、社会的にも価値あるイベントであるととらえるべきであると思いますが、国民の健康と福祉に寄与すべき医師においてこそ、意識改革が必要ではないでしょうか。
本研究において明らかになった、より重要度の高い支援策として
- 病児保育、学童保育など医師の長時間労働サポートする保育体制の整備と質的向上
- 医師の長時間労働の法的制限、時間外労働の制限と金銭的保証
- 女性医師の育児休業、短時間勤務に対する補充要員の確保
- 女性医師の管理職への登用
- 男性の育児休業、育児部分休業などの取得促進
- 長時間労働を前提としない新しい評価軸の構築
- 医師の勤務内容の見直しと他のメディカルスタッフへの仕事の分担
などがあげられます。また、女性医師側も
- 自分で必要な情報を収集し、必要な環境を確保する
- 家事も育児も仕事も完璧にはできないことを認識し、外注するなど効率化をはかる
- 心理的葛藤は誰にでもあると認識し、共有することで解決策をはかる
- 仕事を辞めないという強い意志を持つ
- 退職せず、出産後にはなるべく早く元の職場に復帰して時短、部分休業などから段階的に仕事を増やしていく
などの戦略が必要であると思われます。
これらについては我々のインタビュー動画「女性医師VOICE」を実際にごらんいただき、育児をしながら臨床で働く女性医師の声を実際に聞いていただきたいと思います。そしてこのHPがキャリアの継続に悩む女性医師や女子医学生の交流の一助となり、彼女たちがより活躍できる環境づくりに少しでも貢献できることを期待しています。
京都大学医学部附属病院消化管外科 大越香江
近年、医師国家試験合格者に占める女性の割合は30%を超え、今後女性医師は増えていくと予想されています。しかし、妊娠・出産・育児という過程で第一線を退く女性医師も多く、医学部の定員を増やしても女性医師が勤務を継続できなければ医師不足は解決しないと思われます。また、女性医師が勤務を継続しがたい勤務環境は男性医師にとっても過酷です。そのような環境から医師は遠ざかっていくでしょうし、疲弊した医師が提供する医療の質がよいはずはありません。医師の偏在が医療崩壊に拍車をかけていることは明らかで、医師の勤務環境全体を改善する必要があります。
一方で、現時点で女性医師支援策として提案されている育児支援や復職時の仕事の斡旋や研修などは「育児は女性が行うもの」という性別分業に固執し、女性医師が少なくとも一度は第一線から離脱することを前提としたものです。また、単に「勤務を継続する」ことを目標にしているだけでは女性医師は補助的役割にとどまってしまう可能性があります。実際、女性医師が院長や部長・教授など指導的地位にあることはごく少なく、今後は女性医師が主体的・指導的立場でもっと活躍できるような環境を作っていく必要があると思います。
我々は、男女共同参画と医師のワークライフバランス(WLB)と いう観点を導入し、男女を問わずすべての医師がただ勤務を継続するのみならず、家庭や(職場以外の)社会との良好な関わりも維持しながら医療技術・新たな 知見の獲得を目指せることのできるような体制を目指さなければならないと考えています。その結果、医師の再配置による人材の有効活用が可能になり、医師不 足の解消・医療の質の向上につながると思われます。また間接的な効果として、産業医学・予防医学の担い手でもある医師自身がWLBを達成することは他職種に対して、健全で効率的な働き方を示すモデルケースとなりうるのではないでしょうか。医師の勤務環境整備はもはや医師だけの問題ではなく、社会的に必要な問題なのです。厚生労働科学研究費補助金という公的なサポートにはそういう意味があると考え、心より感謝しつつ我々の研究が社会に還元されることを願って真摯に取り組んでまいります。